ものづくりの小部屋 製作実習関連のコーナー
コーナー2. ICラジオについて
<1.製作内容>
製作するラジオは、チューナー用ICと、低周波増幅用のICを用いています。
チューナー用ICは、同調回路で選局された信号を増幅し、中間周波へ変換し、
その信号を増幅 して検波します。
低周波増幅用のICは、小型スピーカーで音を出すための出力約1Wのアンプを
使用しています。
オリジナルパターンをフリーソフトの「PCBE」を使用して設計し、生基板にその
パターンを転写し、エッチング加工後ハンダ付けして完成させていきます。
基板製作に関しては、ものづくりのツボのコーナーをご覧下さい。
<2.使用部品>
使用する部品は、次の表のようになります。取り付け部品(ビス・ナット等)や樹脂板などは、適宜判断
して製作しています。
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<3.回路図>
IC1を中心とした左半分の回路が受信回路です。同調から検波までを受け持ちます。
IC2を中心とした右半分の回路が低周波増幅回路です。スピーカーを鳴らすための増幅回路です。
これら2つの回路を、カップリングコンデンサC9で接続しています。
<4.関連知識>
4−1.ラジオの回路構成
(1)ストレート受信機
受信電波をそのままの周波数で検波して信号波を取り出します。
(2)スーパーヘテロダイン受信機
受信周波数を一定の低い周波数に変えてから増幅し、検波して低周波信号を取り出します。
感度が安定し、選択性能がよい受信機となります。
4−2.各部の主な働き
ラジオを構成する各部の役割を説明します。
(1)アンテナ
電波(電磁波)をとらえ、電気信号にかえる。
(2)同調回路
目的の放送局を選ぶ。
コイルとコンデンサで構成する共振回路により受信する放送局の信号に同調させる。
(3)周波数変換回路
受信周波数を低い周波数に変換する。
(4)中間周波増幅回路
中間周波数を増幅し、安定した利得を得るとともに選択性を高める。(混信を減らす)
(5)検波
ダイオードにより中間周波信号から音声信号を取り出す。
(6)AVC(自動音量調整)、AGC(自動利得調整)
入力信号の強弱に関わらず、音声信号が一定になるように利得を調整する。
(7)低周波増幅、電力増幅
スピーカーを鳴らすのに必要な出力を得る。
4−3.製作するラジオの基本構成
製作するラジオは、チューナー用ICと、低周波増幅用のICを用いています。
チューナー用ICは、同調回路で選局された信号を増幅し、中間周波へ変換し、その信号を増幅して検波します。
低周波増幅用のICは、小型スピーカーで音を出すための出力約1Wのアンプです。
プライベートで楽しむには1Wでも十分な出力だと思いますが、必要に応じて低周波増幅用IC2を他のものに
変えて作ってみるのも面白いかもしれませんね・・・。その時は、スピーカーの許容ワット数にご注意下さい。
<5.製作日程>
この実習では、連続3時間の実習時間を5週間かけて完成させています。
5日間のそれぞれの作業内容は、次のように進めています。
1日目 (3h) |
・回路図の確認 ・部品の点検 ・PCBEの使い方を学習 ・ラジオのパターン入力(部品のレイアウト) |
2日目 (3h) |
・ラジオのパターン入力 ・パターンの点検と修正 |
3日目 (3h) |
・パターンの最終点検(1h) ・プリント基板の製作(2h) (感光剤塗布・露光・現像・エッチング) |
4日目 (3h) |
・プリント基板の製作 (穴あけ・ハンダ付け・動作確認) |
5日目 (3h) |
・ケース加工 ・本体組み立て ・レポート整理 |
ICを使った同調・増幅を行っているので、完成後に調整する部分はありません。
動作不良の原因は、主にハンダ付け不良です。
過熱不足によるイモハンダ、隣のパターンとの短絡、銅のパターンが溶けきっていない、配線不良など
初期不良の原因はさまざまですが、どんな時も「ちょっとしたミス」が多いようです。
(大胆なものは、基板のパターンミスというものも時にはありますが・・・・)
<6.作品例>
完成品のいくつかを紹介します。
塩ビ板を箱形にしたものや壁掛けタイプなど、いろいろな形状をデザインしてくれるのですが、
ここでは、基板の様子など見やすいようにシンプルな加工でできあがった作品を紹介します。
なお、基板のデザインに入っていた製作者の名前などは、画像を加工し消去してあります。
それから、ちょっと電線が太すぎです・・・よね。
(実は、この生徒作品は自分が担当していなくて、他の先生が指示していたものです・・・(平成16&17年度)
平成18年度は、自分が実習を担当することになりましたので、ちょっと違った作品が今後紹介できるかも!?)
作品例1
作品例2